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派遣にまつわる労働法

派遣元が遵守すべき義務

派遣先が遵守すべき義務

派遣にまつわる労働法

派遣で働く上で、まず頭に入れておきたいのが労働者としての基本的な権利の内容です。トラブルが起こったときにどこに相談すればいいのかわからない、そもそもどの部類に入る問題なのかがわからないという状態に陥ってしまうこともあるかもしれません。このような状況を防ぐために労働者を守るためのどんな法律が存在し、どのような内容であるのかを整理確認しておくことは非常に大事なことです。

労働基準法
労働条件の原則、労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、安全衛生、年少者・女性の特別事項、災害補償、就業規則に関することなど

労働者派遣法
派遣ができる業務の範囲、派遣事業の許可・届出、派遣契約に定めるべき事項、派遣受入期間の制限、派遣元の講ずべき措置、派遣先の講ずべき措置、労働基準法などの法律の適用に関する特例に関することなど

労災保険法
業務災害、通勤災害に関することなど (派遣元に適用される)

雇用保険法
被保険者の対象者、基本手当の給付、日雇労働求職者給付金に関することなど

健康保険法
被保険者の対象者、被扶養者、病気・ケガ・死亡・出産に対する保険給付、日雇特例被保険者に関することなど

厚生年金保険法
被保険者の対象者、老齢・障害・遺族厚生年金の給付に関することなど

派遣先責任者・派遣元責任者への相談

派遣法では、派遣元と派遣先のそれぞれが対処する問題の範囲が定められています。派遣元が対処しなければならない問題は派遣元責任者へ、派遣先が対処しなければならない問題は派遣先責任者へ相談します。

派遣元責任者への相談…雇用契約の内容、契約の更新、賃金、時間外・休日手当、有給休暇、産前産後休業、育児休業、労働災害補償、社会保険・労働保険への加入に関することなど

派遣先責任者への相談…派遣スタッフの就業条件を職場に周知徹底させる、労働時間、休憩、育児時間、生理休暇、労働安全衛生、福利厚生施設の利用、セクハラに関することなど




派遣元が遵守すべき義務

行政の指針によって、人材派遣業を営む上での派遣元会社が講ずべき措置とその使用者責任が示されています。

派遣元会社が講じるべき措置

@派遣先との労働者派遣契約の締結時に就業条件を確認する。
A派遣スタッフの雇用安定を図るために必要な措置を取る。
B適切な苦情の処理を行う。
C労働保険と社会保険を適用を促進する。
D派遣先との連絡体制を確立する。
E派遣スタッフに就業条件を明示する。
F労働者を新たに派遣スタッフとする際に不利益な取扱いをしない。
G派遣スタッフの福祉を増進する。
H派遣法その他の労働関連法律を関係者へ周知徹底させる。
I個人情報を保護する。
J派遣スタッフを特定することを目的とする行為に協力しない。
K紹介予定派遣


派遣元の使用者責任

労働契約の期間…これは期間の定めのない契約と期間の定めのある契約の2つにわかれます。労働基準法では一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは3年を超える契約をしてはならないと定められています。期間の定めをする場合は、その開始日と終了日をはっきりさせなくてはなりません。例外として、高度の専門知識をもつ労働者または60歳以上の労働者については最長5年の契約を結ぶことができます。

労働条件の明示…労働基準法では、「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」(15条)と定められており、この場合の使用者は派遣元を指すので、派遣元が派遣スタッフに対して労働条件通知書や就業条件明示書によって具体的に労働条件を示さなければなりません。

就業規則
…スタッフは派遣元の就業規則と派遣先の服務規律などを同時に守らなければならないためね派遣元の就業規則は大枠の仕組みを定めるにとどめ、スタッフ個別の雇用契約書で別途規定するなどの方法をとればよいとされています。常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁 ( 労働基準監督署 ) に届け出なければならない。就業規則を変更した場合においても、同様とする」と定めています。

賃金…賃金とは一般でいうお給料やボーナスのことです。 労働基準法では「名称の如何 ( いかん ) を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定義しています。また、賃金支払の5原則というものがあり、派遣元は派遣スタッフに対して賃金を「@通貨で払わなければならない、A直接払わなければならない、B全額払わなければならない、C毎月払わなければならない、D一定の期日に払わなければならない」と定めています。

年次有給休暇…「@採用日から6ヵ月間継続勤務していること ( 在籍していればよい ) A全労働日 ( 会社が労働日と指定したすべての日 ) の80%以上出勤したこと」の条件を満たしていれば、派遣元は派遣スタッフに一定の有給休暇を与えなければなりません。

産前産後休業
派遣スタッフの妊娠による休業が必要になった場合は、実際にはスタッフの交代が行われることになると思われますが、ここでは労働基準法で定められている産前の休暇と産後の休暇ついて簡単にご紹介しておきます。

産前の休暇…出産日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から出産日までの期間が産前の休暇になります。出産日が出産予定日よりも遅かった場合はその分延長されます。事業主は女性労働者の請求があった場合に産前の休暇を与えなければならず、請求がなければ与える必要はありません。ちなみに出産とは妊娠4ヵ月以上の分娩のことをいい、流産、早産、人工妊娠中絶の区別はありません。また、生産・死産も問いません。

産後の休暇…出産日の翌日から8週間で、出産翌日から6週間は強制休暇です。つまり、女性労働者の意思に関わりなく休暇を与えなければなりません。6週間を過ぎて女性労働者の請求があり、医師が支障がないと認めた業務に就かせることはかまいません。

変形労働時間制の定め…一定の期間内で労働時間設定をすることを変形労働時間制といい、以下の4つに分けられます。派遣法では、裁量労働制は認められていません。
@1ヶ月単位の変形労働時間制
A1年単位の変形労働時間制
Bフレックスタイム制
C1週間単位の変形労働時間制

時間外労働協定と休日労働協定の締結・届出…派遣元が派遣スタッフに1日の労働時間の上限である8時間を超えて労働させるとき、または休日労働をさせるときは、時間外労働協定 ( 休日労働協定 )を結ばなくてはなりません。時間外労働協定 ( 休日労働協定 ) とは派遣元と派遣スタッフが加入する労働組合 、または派遣スタッフの過半数代表者との間の書面による協定で、これを労働基準監督署へ届け出なければなりません。

このほか、災害補償、雇入れ時の安全衛生管理教育、一般的健康管理 ( 定期健康診断など ) 、労働者死傷病報告書の提出についても派遣元に責任をもたせています。




派遣先が遵守すべき義務

行政の指針によって、人材派遣業を営む上での派遣先会社が講ずべき措置とその使用者責任が示されています。

派遣先会社が講じるべき措置

@派遣元との労働者派遣契約の締結時に就業条件を確認する。
A労働者派遣契約に定める就業条件を確保する。
B契約する前に派遣スタッフを特定する行為 ( 派遣スタッフの面接、履歴書の送付を求めるなど ) をしない。
C性別による差別をしない。
D労働者派遣契約に違反する事実を知ったときは是正措置をとる。
Eスタッフの雇用の安定を図るために必要な措置を取る。
F適切な苦情の処理を行う。
G労働保険と社会保険の適用を促進する。
H適正な派遣就業を確保する。
I派遣法その他の労働関連法律を関係者へ周知徹底させる。
J派遣元事業主と労働時間などについての連絡を取れるようにしておく。
K派遣スタッフに対する説明会などを実施する。
L派遣先責任者を適切に選任し、適切に業務が遂行されるようにする。
M派遣スタッフの就業期間の制限を適切に運用する。
N派遣スタッフの就業期間中に意見を聴く。
Oリストラによって解雇された労働者がついていたポストに派遣スタッフを受け入れることについての説明。
P安全衛生に関わる措置。
Q紹介予定派遣

派遣先責任者と指揮命令者
@派遣先責任者…派遣先会社の社員で派遣元会社と連絡を取る人。
A指揮命令者…派遣先会社の社員で、派遣社員に直接指示命令を下す人。

正社員の代替社員として派遣を導入する
リストラを行った3ヵ月以内に解雇された正社員の代わりに派遣を導入するときは、派遣の導入期間を必要最小限にとどめ、残る社員が納得できるよう説明する努力をしなければならない。

派遣先の使用者責任

労働時間…1日の労働時間の上限は8時間、1週間の労働時間の上限は40時間 ( 一部44時間の例外アリ ) と定められており ( 9条 )、 これを法定労働時間といいます。

休憩…労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働者に与えなければならない」としています。労働時間が6時間以内なら休憩を与えなくても違反にはなりません。休憩時間を有給にするか無給にするかについては定めていないので、労使交渉で決めることになります。派遣先は休憩を与える際に以下の点に注意しなければなりません。

@労働時間の途中に与えなければならない
A一斉に与えなければならない  ( ただし、交代で休憩時間をとることなどを決めた労使協定があるときや一定の業種については適用されません。 )
B労働者に自由に利用させなければならない

休日…原則的には1日の休日とは午前0時から午後12時となります。休日は最低週に1度、または4週間に4日以上とらなければなりません。週に1度とることを週休制と呼び、この場合は必ずしも日曜日や祝日を休日にしなければならないわけではありませんが、派遣元から出される労働条件通知書などに明記する必要があります。ただし、災害などによる臨時の必要がある場合や休日労働に関する36協定がある場合は1週間に1日の休日を確保しなくてもよいことになっています。4週間に4日以上とる場合( 変形週休制 ) もその開始日を就業規則などに明記しておかなくてはなりません。

深夜業…満18歳未満は深夜業をしてはなりません。深夜とは原則午後10時から午前5時までです。 ( 一部例外として午後11時から午前6時までの場合もあり ) 満15歳年度末までの児童については原則午後8時から午前5時までとなっています。 ( 一部例外として午後9時から午前6時までの場合もあり ) ただし、例外として、@シフト制によって働く満16歳以上の男性、Aシフト制の事業で所轄労働基準監督所長の許可を受けたとき、B災害など臨時の必要があるとき、C農林水産業、保健衛生業、電話交換の業務に就く場合は年少者にも深夜業をさせることができます。

育児時間…休憩時間以外に育児のための時間としてさらに1日2回30分ずつ、合計1時間を乳児を抱える女性に与えなければなりません。請求する時間は労働時間中であればいつでもかまいません。労働時間の初めと終わりに請求することも可能です。1日の労働時間が短い場合、具体的には4時間以内であるような場合は、育児時間は1日に1回30分でよいとされています。この育児時間中は有給、無給は問われていませんが、労働協約や就業規則で明記しておくことが必要です。

生理休暇…「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合は、その者を生理日に就業させてはならない」と定めています。

就業制限
@坑内労働…妊婦と業務に従事しない旨を申し出た産婦については坑内で行われるすべての業務、 妊産婦以外の満18歳以上の女性については人力により行われる掘削の業務など有害な業務として厚生労働省で定める業務につかせてはなりません。満18歳未満の者も坑内で労働させてはなりません。

A危険有害業務…女性には重量物を扱う業務や有害ガスを発散する場所での業務などをさせてはなりません。満18歳未満の者に重量物を扱う業務や、運転中の機械や動力装置の危険な部分の掃除、注油、検査、修繕などの危険な業務をさせてはなりません。その他、安全、衛生、福祉に有害な場所での業務もさせてはなりません。

割増賃金…時間外労働をさせた場合は、8時間を超えた部分に対して通常の賃金に上乗せされる割増賃金 ( 残業代 ) が発生します。 ( 変形労働時間制を採用している場合はその日の特定された労働時間を超えた場合に発生します。)

休業手当…使用者に原因のある理由で休業するに至った場合は、平均賃金の60%以上を休業手当として派遣スタッフに支払わなければならないと定めています。

軽作業への転換…使用者は妊娠中の女性 ( 妊婦 ) が請求した場合は他の軽易な業務に転換させなければなりません。転換後の業務は女性が請求した業務であることが基本ですが、使用者が新たに軽易な業務を創設する義務を与えるものではありません。

労働時間の制限…使用者は妊産婦が請求した場合は変形労働時間制 ( フレックスタイム制を除く ) に関わらず、時間外労働をさせてはなりません。つまり、1日8時間、1週40時間を超えて就業させてはなりません。また、災害などの緊急の場合であっても、公務のために臨時の必要があっても、妊産婦が請求した場合は休日労働をさせてはなりません。同じく、妊産婦が請求した場合は深夜業をさせてはなりません。

健診のための通院時間の確保と医師・助産師の指導事項を守るための措置…事業主はその雇用する女性労働者が母子保健法に規定による保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならず、また、それに基づく指導事項を守ることができるようにするために、勤務時間の変更や勤務の軽減などの措置をとらなければなりません。

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