事前面接 競合面接 偽装請負
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派遣の予備知識



派遣の予備知識

事前面接・履歴書送付・差別的取扱いの禁止
派遣先がスタッフを受け入れるときに前もって面接をしたり、派遣元に履歴書の送付を要請したり、スタッフを一定年齢以下に限定することは、スタッフを特定する行為として派遣法で禁止されています。ただし、紹介予定派遣の場合や、スタッフの希望による職場見学などは違反になりません。また、派遣先は、年齢、性別、障害の有無を理由として、スタッフに対して派遣の対象外とすることや受け入れを拒否するなどの差別的取扱いをしてはなりません。ただし、年齢に関しては、中高齢者に限定して採用するなどの一定の条件に当てはまれば、年齢制限を設けてもいい場合があります。

競合面接とは
事前面接の1つで、求人企業が複数の派遣元会社から派遣社員の候補者を集めて面接を行い、その中から実際に使用する派遣社員を決定することをいい、試験を行うところもあるようです。事前面接や試験を行うことは「派遣労働者の特定を目的とする行為」にあたるので、派遣法に違反します。

偽装請負とは
請負とは、請負人が一定の仕事を完成させることを約束する契約を交わし、その仕事の完成に対して注文者が報酬を支払うことをいいます。請負と称して実際は派遣を行うことを偽装請負といいます。派遣と請負の違いは、業務の遂行や労働時間、企業の秩序の維持と確保などについての指示や管理 ( 指揮命令 ) を誰がするかによって判断されます。雇用されている会社の社員から指揮命令を受けるときは請負となりますが、それ以外の者 ( 他社の社員など ) から指揮命令を受けるときは派遣であり、請負と称している場合は偽装請負を行っていると判断されます。

スタッフの就業条件
派遣元は、派遣先の決定について、スタッフの適正や能力に適している派遣先を選出し、就業期間、就業時間、就業場所、派遣先での就業環境についてできるだけスタッフの希望に沿うよう努めなければなりません。就業条件に関して一番重要なのは、業務内容の確認です。派遣に関するトラブルで最も多いのは、派遣スタッフが契約にない仕事を頼まれることです。このようなトラブルが起こらないように、派遣法では派遣先が社内で契約内容の周知徹底を図るなどの具体的な措置を講じることを以下のように義務付けています。

派遣先が講じなければならないスタッフの就業条件を確保するための措置
@スタッフの就業条件の周知徹底を図る
指揮命令者やその他の関係者に書面で通知するか、就業場所に書面を掲示するなどして社内での周知徹底を図らなければなりません。
Aスタッフの就業場所を巡回する
定期的にスタッフの就業場所を巡回して、契約に違反していないか確認しなければなりません。
Bスタッフの就業状況を報告させる
指揮命令者から定期的にスタッフの就業状況について報告をさせなければなりません。
C契約の遵守に関する指導をする
指揮命令者に契約内容に違反するような指示をしないよう指導を徹底しなければなりません。





スタッフの教育訓練
派遣元は、スタッフに対して教育訓練の機会を確保するよう努めなければなりません。一般労働者派遣事業の許可申請のときに提出する「教育訓練に関する計画」に基づいて実施しなければなりません。

派遣契約の更新と解除
派遣元指針では、派遣会社は派遣スタッフの雇用契約期間を派遣先と結んだ派遣契約期間と合わせるよう努めなければならないと定められています。
派遣先指針では、派遣先は派遣会社と結ぶ派遣契約の期間をできるだけ長く定めるように努めなければならないと定められています。また、派遣先は「派遣スタッフの国籍、信条、性別、社会的身分、労働組合の正当な行為をしたことを理由に派遣契約を解除してはならない」(派遣法27条)とも定められているので、派遣スタッフを使い捨ての人材と見切って簡単に首を切るようなことはしてはなりません。万が一派遣スタッフが首を切られたような場合でも、契約の解除は無効となります。

休業手当
労働基準法では、使用者に原因のある理由で休業するに至った場合は、平均賃金の60%以上を休業手当として派遣スタッフに支払わなければならないと定めています。

未払賃金の立替払い
登録していた派遣会社の経営が行き詰まり、派遣元が派遣スタッフに賃金が支払えなくなったとき、一定の条件に当てはまれば退職した派遣スタッフに対して政府が賃金の立替払いをしてくれます。具体的には労働者災害補償保険法 ( 労災法 ) の適用事業を1年以上行っていた事業主が以下の倒産事由に該当した場合に、派遣スタッフの請求にもとづいて政府が賃金を支払ってくれます。

@破産手続きの開始の決定があった。
A特別清算開始の命令を受けた。
B整理開始の命令を受けた。
C民事再生手続き開始の決定があった。
D更生手続き開始の決定があった。
E事業主が事業活動に著しい支障を生じたことによって労働者に賃金を支払うことができない状態として厚生労働省令で定める状態になった。 ( 中小事業主など一定の範囲のみ )



賃金の立替払いは退職した派遣スタッフに対して行われるので、退職の時期が限定されています。賃金の立替払いの対象となる退職の時期は、@〜Dまでの倒産事由に該当する場合は破産申立てなどの最初の申立てがあった日の6カ月前から2年間となっています。Eに該当する場合はその認定のもととなった最初の申請があった日の6カ月前から2年間です。


未払賃金の金額
原則的には未払額の80%が保障されますが、下記の表のように年齢によって異なる上限額が定められています。下限額も定められていて、未払賃金の総額が2万円に満たないときは立替払いは行われません。

退職日の
年齢
未払賃金の上限額 立替払いの上限額
30歳未満 110万円 88万円
30歳以上
45歳未満
220万円 176万円
45歳以上 370万円 296万円




賃金の遅延利息
派遣元が退職した派遣スタッフに支払うべき賃金の全部または一部を退職の日もしくは退職後の支払期日までに支払わなかったときは退職日の翌日からその支払日までの日数に応じて年利率14.6%の利息が発生します。派遣元はこの利息分を賃金とともに派遣スタッフに支払わなければなりません。

賃金の非常時払い
派遣元は、派遣スタッフが非常時の費用にあてるために請求したときは、賃金の支払期日が来ていなくても、すでに労働した分の賃金に関しては支払わなければなりません。非常時とは派遣スタッフ本人、または派遣スタッフの収入によって生計を維持する者が次のような状態になった場合をいいます。

@出産したとき
A病気になったとき
B災害にあったとき
C結婚したとき
D死亡したとき
Eやむをえない事情で1週間以上帰郷することになったとき



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