常用型・登録型 紹介予定派遣 多重派遣 日雇い派遣(スポット派遣)
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派遣いろいろ


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派遣できる業務とできない業務



派遣いろいろ

常用型派遣と登録型派遣
常用型派遣は派遣元に常時雇用され、派遣先に派遣される形式で、特定労働者派遣とも呼ばれています。常時雇用されているので、派遣されているいないにかかわらず給料が毎月支払われます。機械設計、電子設計、コンピューターのシステム設計などのエンジニアが多いようです。登録型派遣は派遣元会社に登録しておき、派遣先が決まった時点で派遣会社に雇用される形式で、一般労働者派遣ともいいます。派遣されるときだけ雇用されるので、派遣されていなければ給料は支払われません。

登録型の方が採用と解雇をたびたび繰り返すので、経済的に不安定なのですが、全体の8割を占めているとされています。時給はパートより高いことが多いものの、年収で見ると結構低くなりがちです。登録型は1つの仕事が終わって、次の仕事が決まるまでの非就労期間があるため、収入がゼロの月も珍しくないのです。さらに次の仕事を紹介してもらえるかどうかも派遣スタッフの不安をあおる要因となっており、仕事を紹介してもらえても、契約期間がどんどん短くなっていることも大きな問題となっています。最近ではその傾向が特に強く出ていて、契約期間が3ヵ月以下の派遣スタッフが60%以上いると言われています。

紹介予定派遣とは
紹介予定派遣とは、派遣元が職業紹介することを予定して、スタッフを派遣先へ送り込む人材派遣のことで、派遣スタッフの正社員への道をのこすための制度です。派遣法の改正によって派遣の開始前、または派遣期間中に求人と求職の意思確認や採用の内定をすること、派遣業務と職業紹介事業を兼業することが可能になったせいで、人材派遣会社でも有料職業紹介事業を行うところが増えました。派遣期間が試用期間の側面も併せ持つことで、継続して働くことが可能かどうかの判断をすることができるため、派遣先と派遣スタッフの両方にとってメリットがあるとされています。

紹介予定派遣は有料職業紹介事業の許可を取得した派遣会社でないと行えません。有料職業紹介事業については、職業安定法によって事業を行ううえでのルールが定められていて、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。 ( 港湾運送業務や建設業務などの一部の業務では禁止されています。)

紹介予定派遣は、派遣会社が派遣スタッフに紹介予定派遣であることを前もって知らせておき、同意を得てから求人企業に紹介・斡旋し、一定期間の就業の後、雇用契約が締結されれば、求人企業から紹介料が支払われるという仕組みです。派遣法では事前面接などが禁止されていますが、紹介予定派遣についてのみ事前面接や履歴書の送付が許されています。派遣期間は原則6ヵ月と定められていますが、短縮することも可能です。ただし、派遣されたスタッフは必ずしも求人企業に正社員で採用されるとは限らず、パートやアルバイトとして雇用されることもあります。求人企業が採用した場合は、派遣期間が試用期間の代わりとなるため、採用後に新たに試用期間を設けないように行政指導がなされています。採用を見送る場合は、派遣スタッフの求めに応じて、派遣元に対して書面・電子メール・ファックスなどでその理由を明らかにしなければなりません。

新卒派遣とは
新卒派遣とは紹介予定派遣の一種で、大学4年生等を対象にビジネスマナーやパソコンなどの研修を行って、卒業後に派遣先で一定期間働いた後、そのまま就職することを目的とする制度です。

専ら派遣とは
専ら派遣とは、派遣元が特定の派遣先企業 ( または特定のグループ企業 ) に限定して労働者を派遣することで、労働者派遣法で禁止されている行為です。
派遣先が1社でも複数でも、一定の企業に限定されていれば専ら派遣とみなされ、派遣法違反となります。定款や登記簿謄本などに専ら派遣が事業目的であることが記載されている場合や、新たな派遣先確保のための営業努力が見受けられない場合、人材派遣を特定の企業に絞っていて、他の企業からの依頼を正当な理由なく断っている場合は専ら派遣と判断されます。




多重派遣とは
派遣法では、自社で雇用している労働者を派遣することしか認めていません。つまり、雇用していない労働者を派遣すれば、派遣法違反となります。たとえば、派遣スタッフのみどりさんが派遣元から○○会社に派遣され、その指揮命令者に△△会社に行くよう命じられ、、△△会社で社員に指示されて仕事を行ったとします。これを2重派遣といますが、○○会社は雇用していない労働者を他社へ派遣したことになり、これは職業安定法44条で禁止されている労働者供給事業を行ったことになります。3重派遣や4重派遣などもあり、これらを総称して多重派遣といいます。

スポット派遣とは
スポット派遣とはいわゆる日雇派遣のことで、1日単位の仕事にスタッフが派遣される仕組みをいいます。企業の求人募集が発生すると派遣スタッフ登録者の携帯にメールで仕事の紹介がされることから、デジタル派遣などとも呼ばれています。最近ではこのような働き方をする20代から30代の若者が急増しており、非正規雇用の中でもとりわけ生活苦に陥りやすい状況にあることが大変問題視されています。ネットカフェ難民と呼ばれる彼らは、インターネットカフェやマンガ喫茶に寝泊りし、食事はコンビニの弁当などで済ますことが多く、昼間は大きなカバンや紙袋に入れた最低限の生活用具をコインロッカーに預けるなどして日雇の仕事をしています。人間が生きていくうえで最低限必要な衣食住が脅かされている状況が現に起こっているのです。

海外派遣とは
海外派遣とは、その名のとおり、日本から日本以外の国で事業を行っている企業へおおむね1ヵ月を超える期間にわたって労働者を派遣することをいいます。日本以外の国で事業を行っている企業とは、日本国内の法人などの海外支店のみならず、海外の法人なども含まれます。国内法が適用されない海外でも、派遣スタッフの就業条件が悪化しないように、派遣法の「派遣先が講ずべき措置」を派遣元が書面・電子メール・ファックスで派遣先に通知することが義務付けられています。





派遣できる業務とできない業務

派遣できる業務

@専門的26業務…派遣法が施行された1986年、13業務として定められていたものが、10年後の1996年、さらに13業務が追加されて26業務となりました。文字通り、専門的な知識や技術を必要とする業務で、厚生労働省令で「職業生活全期間にわたる能力の有効発揮と雇用安定に資する業務」として列挙されています。専門的26業務の派遣可能期間に制限はありません。ただし、同一業務に同じ派遣スタッフを3年を超えて投入し、その業務に新たな労働者を雇入れようとする場合は、その派遣スタッフに直接雇用の申込みをしなければなりません。
種類 専門的26業務 ( 派遣期間の制限なし )
事務 OA機器操作、ファイリング、秘書、財務処理、取引文書作成、調査
技術 OAインストラクション、ソフトウエア開発、機械設計、研究開発
マスコミ 書籍等の製作・編集、広告デザイン、アナウンサー、放送機器などの操作、放送番組などの演出、放送番組などの大道具・小道具
サービス・
営業
デモンストレーション、テレマーケティング、添乗、セールスエンジニアの営業、金融商品の営業、建築物清掃、建築設備運転・点検・整備、受付・案内、駐車場などの管理
その他 通訳・翻訳・速記、事業の実施体制の企画・立案、インテリアコーデイネーター


Aプロジェクト業務…事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務で一定期間内 ( 行政解釈では3年以内 ) の完了が予定されている業務のことで、一般にプロジェクト業務と呼ばれています。派遣可能期間は3年です。

B就業日数が少ない業務…派遣スタッフの1ヶ月間の就業日数が、派遣先の一般労働者のそれと比較して半分以下であり、かつ10日以下である業務をいいます。派遣可能期間に制限はありません。

C育児の代替業務…育児介護休業法に定められている育児休業期間とその前後に、母性保護や子供の養育のために休業する労働者の業務をいいます。派遣可能期間は休業した労働者が仕事に復帰するまでです。

D介護の代替業務…育児介護休業法に定められている介護休業期間とその後に家族の介護をするために休業する労働者の業務をいいます。派遣可能期間は休業した労働者が仕事に復帰するまでです。

E自由化業務 ( 一般的業務 ) …1,999年から解禁された派遣禁止業務以外の業務のことで、一般的業務とも呼ばれています。この業務が加わったことで、派遣できる対象業務が大幅に拡大されました。具体的には、営業、販売、一般事務、医療事務、介護、製造の業務です。製造の業務のうち、特定製造業務 ( 育児と介護の代替業務を除く ) に関しては、派遣可能期間が2007年2月末日までは1年で、それ以降は最長3年になります。これ以外の自由化業務の派遣可能期間は原則1年、ただし、3年以内の期間を定めて労使の合意があった場合はその期間となっています。派遣を1年を超えて受け入れる場合は、派遣先の事業主は労働組合または過半数労働者の代表者に書面で通知して意見を聴き、否定的な意見があれば、尊重するように努めなければならないとされています。さらに、3年を超えて派遣スタッフを受け入れるときは、直接雇用の申込み義務が生じます。一旦派遣契約を終了し、同じ業務に再び労働者を雇うときは、契約を終了した派遣スタッフを雇用するように努めなければなりません。

自由化業務では、派遣先は同じ業務に派遣可能期間を超えて人材派遣の提供を受けてはなりません。これは、派遣スタッフが同一人物であろうとなかろうと、同一派遣元であろうとなかろうと、その派遣先で人材派遣の提供を受けている期間が派遣可能期間を超えてはならないということです。つまり、最長でも派遣受入可能期間が3年で、それを超えて同じ派遣スタッフはもちろんのこと、別の派遣スタッフや別の派遣会社のスタッフを投入することも違反となるので、注意が必要です。ただし、「クーリング期間」というものがあって、派遣スタッフを受け入れていた期間の後にクーリング期間をおけば、新たに派遣スタッフを投入することが可能になります。クーリング期間とは、派遣を受けない期間のことで、最低3ヵ月おかなくてはなりません。

専門的26業務の派遣スタッフとして受け入れたにもかかわらず、実際には専門業務以外にコピー取りや電話応対などの自由化業務もさせることを複合業務といいます。複合業務については、自由化業務が1日または1週間当たりの労働時間の1割以上行われる場合は、自由化業務の派遣スタッフ扱いとなるため、派遣可能期間は原則1年となり、3年を超えるときは直接雇用の申込み義務が生じます。ですから、派遣スタッフは派遣先での就業内容、具体的には、就業時間や業務内容について記録しておくことが大事です。





派遣できない業務

派遣できない業務のことを派遣禁止業務、またはネガティブリストといいます。派遣禁止業務は以下の7種類に分類されます。

@港湾運送業務
A建設業務
B警備業務
C医療関係の業務 ( 紹介予定派遣、社会福祉施設など一部を除く )
D人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉や労使協定の締結などのための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
E弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務
F建築士事務所の管理建築士など他の法令で禁止されている業務



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